プリンス通算9枚目となる2枚組のアルバム「サイン・オブ・ザ・タイムス」。そのタイトル・アルバムを元にしたコンサート・ツアー、87年6月のヨーロッパ最終公演のライブを追ったものだ。とにかく恐ろしいくらいにエネルギッシュなステージが展開。特にプリンスは、「パレード」というアルバムあたりから、ライブ中にパントマイム的な動きを取り入れたり、演劇的な要素が強まったように思うのだが、本作でも照明から構成から、そういういかにも演劇的な要素がしっかり下地に入っている。だから単なるライブではくくれない、魅力ある作品となっているのだ。全盛期の殿下のパフォーマンス、シーラ・Eの素晴らしいドラム、セクシーなダンサーのキャッツの激しいダンス、そしてゲスト出演のシーナ・イーストンと殿下の掛け合いも見逃せない。(横森 文)